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2006年5月24日 (水曜日)

前後編は初めて。

いきなりですが、フランス語の「単純自制における条件法現在形」ってすごく面白いです。訳し方は「もし~~だったら~~なのに。」という仮定の話とか、「お願いしたいことがあるのですが…。」「どうやら電車事故があったらしい」という推測や語調緩和に使います。これだけでは英語と大して変わらないのですが、面白いのは使用時のニュアンスです。

例えば…絶対に治らない癌に侵されて絶対に助からない子供が病院に搬送されてきたとしましょう。このとき医者は絶対に子供を救えないと知っていて親に助からないことを告げる場合、普通はどのように言うでしょうか。まあ医者にとっていろいろだとは思いますが、自分的に多いと思うのは「残念ですが、お宅の子供さんは…」といった出だしで説明する…のかと。ではフランス語の場合では、次のように言うのが普通らしいです。「これは絶対に助からない病気ですが、世界中を探せばもしかしたら特効薬が見つかるかもしれません。そうすれば子供さんは助かりますよ。」と。親にひとカケラの希望を与えているみたいでしょう? 医者は「現代の医療では100%助からない」と分かっていてもこのように言うのだそうです。これが条件法現在なのです。つまり相手にとって絶望的な事を相手に希望を持たせるような言い方をする文法なんですよ。ちなみに、本当に世界中に電話して特効薬を探すのかどうかは歯医者のみぞ知る……です。

他には、最初に挙げた列車事故のこと。事故があって乗客が全員死んだとしましょう。それで関係者が遺族に連絡をしなければならないのですが、ここでは条件法現在形を使って「どうやら列車事故が起こったようです。現在安否を確認中です。」と言うそうです。(これは日本語でも少しはある表現かな?)本当はもう死んでいることは知っているのにわざとこんな易しい言い方をするのだそうです。これがフランス語の世界における礼儀というか、マナーらしいとか。ただ「変な希望を持たせると、事実を目の当たりにしたときの絶望する落差が余計に大きくなるから、むしろ親切とは程遠いのではないか?」とも取れますが…まあこれは人それぞれって事で。

でも条件法で言われたら、大概がそんなパターンでほとんど信用できないそうです。条件法で「今夜俺の家に来ないか?」といわれると、本当に家に行っても99%の確率で留守である…とか。中々興味深いものです。ちなみにこんな大変婉曲な表現をする言葉ですが、教授によると京都弁もこれに近いものがあるのだそうです。   かなり長くなりそうなので続く。

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コメント

読んでいて京都弁とにてるじゃないかと思っていたら最後にそう来たのでやっぱりと思いました。
回りくどいものや心にもないことを言うのは嫌いなので、どちらも実際に使われると頭にきそうです。

投稿: ミラージュ | 2006年5月25日 (木曜日) 午後 10時23分

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